『民衆史研究』第99号

『民衆史研究』第99号を発行いたしました。

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第99号 目次

 

【特集 民衆の視点から「天皇」を考える】

・民衆史研究会委員会「特集にあたって」

・西山剛「中世の駕輿丁と行幸

・上田長生「幕末期の天皇・朝廷権威と民衆 ─神武天皇陵への勅使参向をめぐる動きを中心に

・加藤祐介「皇室と国民 ─神楽村御料地争議(1920~1924年)再論」

・仁藤敦史「コメント ─古代王権論からみた天皇の位置付け

萱田寛也「討論要旨」

 

【書評】

・里舘翔大「今津勝紀著『戸籍が語る古代の家族』」

・小松賢司「齊藤紘子著『畿内譜代藩の陣屋と藩領社会』」

・林進一郎「2020年代百姓一揆研究に向けて ─若尾政希著『百姓一揆

・水谷悟「伊東久智著『「院外青年」運動の研究 ─日露戦後~第一次大戦期における若者と政治との関係史』」

・大串潤児「佐々木啓著『「産業戦士」の時代 ─戦時期日本の労働力動員と支配秩序』」

 

【新刊紹介】

・清水覧磨「永嶺重敏著『歌う大衆と関東大震災「船頭小唄」「籠の鳥」はなぜ流行したのか』」

 

【参加記】

・藤井なつみ「牧原憲夫を語る会〜著作選集出版を記念して〜」

 

【会務記録】

・民衆史研究会委員会「2019年度総会の記録」

『民衆史研究』第99号 発送遅延について

2020年6月27日追記

『民衆史研究』第99号を発送いたしました。

 

 

会員・関係機関各位

 

2020年6月6日

 

 

平素より弊会の活動にご理解・ご協力下さり、ありがとうございます。

 

先月発行の会誌『民衆史研究』第99号ですが、 事務局を設置しております早稲田大学が、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、大幅な入構制限を実施している関係で、 発送に遅れが生じております。

納品は終了しておりますので、入構制限が緩和され次第、すぐに発送いたします。

 

何卒ご理解・ご了承のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

 

民衆史研究会

『民衆史研究』第98号

『民衆史研究』第98号を発行いたしました。

ご購入については minshu.shi@gmail.com までお問い合わせ下さい。

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第98号 目次

 

【特集 うごかし、まなざす身体 1930-40年代における「運動」の諸相】

・民衆史研究会委員会「特集にあたって」

坂上康博「1920~40年代のスポーツ史像と民衆」

・鈴木楓太「戦時期の体育政策における対象者の区分と奨励種目 ─厚生省の四三年方針を中心に─」

・金誠「総力戦体制における人的資源としての朝鮮民衆 ─スポーツの否定と兵的動員の正当化へ─」

 

【論文】

・長島光二「江戸内湾東部の地場的海産肥料 ─貝肥料を中心に─」

 

【書評】

・錦昭江「春田直紀著『日本中世生業史論』」

・小酒井大悟「白水智著『中近世山村の生業と社会』」

・谷徹也「小酒井大悟著『近世前期の土豪と地域社会』」

・佐野智規「岩田真美・桐原健真編『カミとホトケの幕末維新 交錯する宗教世界』」

 

【新刊紹介】

・山口啄実「海老澤衷編『よみがえる荘園 ─景観に刻まれた中世の記憶─』」

・相良海香子「朝幕研究会編『論集 近世の天皇と朝廷』」

 

 

2019年度シンポジウム「民衆の視点から「天皇」を考える」

2019年度の民衆史大会シンポジウムを開催しました。

 

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「民衆の視点から「天皇」を考える」

  日時 : 2019年12月21日(土)13:00-

  会場 : 早稲田大学戸山キャンパス33号館3階 332教室 

 

  報告

   ・西山剛氏 「民衆史からみる中世の駕輿丁と行幸
   ・上田長生氏「幕末期の天皇・朝廷権威と民衆ー山稜修復・管理・勅使参向からみるー
   ・加藤祐介氏「皇室と「国民」―上川御料地争議(1920-1924)再論―」(近現代史

  コメント

   ・仁藤敦史氏(古代史)

 

※当日は、資料代として300円申し受けます。

 

2019年度民衆史研究会シンポジウム趣旨文

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『民衆史研究』第97号

『民衆史研究』第97号(2019年5月)

 

特集 幕末維新期の地域社会・民衆と「軍事」

  • 民衆史研究会委員会 「特集にあたって」
  • 岩城卓二 「幕末期京都警衛における夫人足徴発」
  • 高久智広 「幕末維新期の海防・開港をめぐる幕府政策と地域社会 ―「将軍の港」構築から開港へ―」
  • 中野良  「コメント」
  • 渡辺剛  「討論要旨」

書評

  • 伊藤俊一 「似鳥雄一著『中世の荘園経営と惣村』」
  • 工藤航平 「八鍬友広著『闘いを記録する百姓たち 江戸時代の裁判学習帳』」
  • 鈴木則子 「長島敦子著『江戸の異性装者(クロスドレッサー)たち』」
  • 東野将伸 「谷山正道著『民衆運動からみる幕末維新』」
  • 岩崎正弥 「食を通して近代の「人びと」の暮らしを描く : 書評 湯澤規子著『胃袋の近代 食と人びとの日常史』」

会務記録

  • 2018年度総会の記録

新刊紹介

  •  萱田寛也「新村拓著『売薬と受診の社会史』」
  •  冨澤周平「小林茂文著『親と子の古代史 愛・葛藤と出家・不孝』」

 

『民衆史研究』第96号

特集 近世民衆の生活と道徳規範
・菅野則子 「表彰の「表」と「裏」 ー「善行」を考えるー」
・早川雅子 「幕末維新期の江戸町方住民における孝行と自己意識」
・上野大輔 「書評 柴田純著『考える江戸の人々 自立する生き方をさぐる』」

論文
・早田旅人 「二宮尊徳にみる富者の貧者救済論」

書評
・金井静香 工藤敬一著『中世熊本の地域権力と社会』(高志書院、2015年2月)
・長谷川賢二 近藤祐介著『修験道本山派成立史の研究』(校倉書房、2017年11月)
・宮信明 須田努著『三遊亭圓朝と民衆世界』(有志舎、2017年8月)
・友田昌宏 小川原正道著『西南戦争と自由民権』(慶應義塾大学出版会、2017年7月)
・高田雅士 道場親信著『下丸子文化集団とその時代』(みすず書房、2016年10月)

幕末維新期の民衆・地域社会と軍事

2018年12月9日(日) 13:00〜
会場 早稲田大学早稲田キャンパス22号館201教室
当日資料代を頂きます(300円程度)。また、終了後には懇親会を設けます。

※同日11:00〜12:00に総会を開催いたします。

大会シンポジウム
13:00〜 趣旨説明
13:10〜 「幕末期の京都警衛における夫人足徴発」(仮)
                       ・・・岩城卓二氏
14:25〜 「幕末維新期の海防・開港をめぐる大坂町奉行と地域社会」
                       ・・・高久智広氏
15:30〜 コメント             
                       ・・・中野良氏

16:15〜 総合討論

〈開催趣旨〉
本企画では民衆生活を深く規定する「軍事」という要素について、近世史・近代史研究双方の成果をもとに理解を深めることを試みる。
幕藩制国家から明治政府への移行は様々な点で進行したが、なかでも軍事と民衆との関係は、近世的軍役体制を前提とした関係から、「国民皆兵」を基本理念とする徴兵制を基盤とした関係へと、社会構造と密接に関わるかたちで変化した。近代社会において、徴兵制は兵士としての経験だけでなく、制度を支えるさまざまな社会的システムや軍事施設を通じた地域的・日常的関わりを通じて人々の生活に深く組み込まれており、近代民衆史を考える上では不可欠な要素であったといえる。一方、「兵士となる」ことに限らなければ、近世社会も戦闘の際の夫役をはじめ、城下町での生活や交通関係の諸役などを通じて、人々が直接的・間接的に「軍事」と関わる社会であった。体制が変化するなかで、兵役以外の点、言い換えれば軍事を支える社会システムや地域的相互関係の次元において、軍事と民衆との関係はいかに変質し、または継続したのだろうか。そのことは、軍事という視点から民衆の経験した幕末維新期を考えるうえで、どのような論点を提示しうるだろうか。
 当該期の民衆・地域社会と軍事の関係に関して、近代史研究においては、民衆思想史や運動史研究が新政反対一揆に注目し、伝統的民衆世界の論理に基づいた兵役負担への反発という移行期の様相を描いた。だが、兵役負担を中心に論じたため、一方で兵役という回路以外の軍事−民衆関係における近世−近代の連続/断絶への言及は弱かった。90年代以降には、軍隊や徴兵制の問題を兵士の目線や地域社会との関係から捉える動きが活発化し、「天皇の軍隊」を兵士=民衆に寄り添って内在的に批判検討していく視点や、徴兵制を支える社会システムに注目し、協力や動員の側面から軍事経験を解き明かそうとする視点が提示され、近年では地域と軍隊の相互的な影響関係を都市史や地域史の視点から論じる研究も盛んである。だが、近代軍隊と人々の恒常的な接触から生み出される関係に注目するこれらの研究は、必然的に、徴兵制施行後、対象地域への軍事組織設置後が対象となり、また軍隊側が社会との交渉を重視し始める日露戦争以降に分析の比重が置かれている。
近世史研究では、体制変革という問題関心に基づき、封建的軍隊の解体と近代軍建設の動きが身分制・近世的軍役体制の崩壊という側面から注目され、それと関わるかたちで、兵賦徴発とそれへの反発、諸隊や農兵組織等の動きなど、主に「兵役」の変容に関係する諸事象を中心に論じられてきた。90年代にはいると、軍事動員体制、すなわち軍事・戦争遂行を支える兵站等の社会的仕組みの変容が持った意義を重視する軍事史研究の視角が提起された。こうした流れをふまえ、近年では幕末に活性化した軍事的諸要請と既存の社会システムとの関係を、地域史の視点を踏まえて論じる研究も進められている。このほか、戦場の社会史的研究や戦没者慰霊の問題など、幕末の地域社会・民衆と軍事との関係はより多角的に論じられるようになった。
 以上のように、近代史研究と近世史研究はともに兵役に限らない民衆・地域社会と軍事との関係を扱いつつも、国家体制の変化と徴兵制移行という断絶の存在により、関心や論点が二分化している傾向があるように思われる。だが、近世史研究の成果が示すように、幕末の民衆・地域社会と軍事との関係のあり方が一面において「近代的」軍事様式と当時の社会構造との軋轢に規定されていたとするなら、そこには両研究が協同して検討しうる課題が残されているのではないだろうか。こうした検討を通じて、結果的に、徴兵制への移行という民衆生活と深く関わり、かつ近世と近代を分かつ変化の意味をもふまえた議論が可能となろう。
 そこで本企画では、幕末維新期において民衆・地域社会と軍事とがどのようなかたちで関わっていたのかについて、畿内周辺を対象とした二つの報告を用意した。岩城卓二氏報告では、従来円滑に機能したとされる京都警衛における夫人足徴発について、徴発の実態レベルに着目し、当該期の畿内社会における夫人足をめぐる諸問題と、そのなかでも徴発が可能となった仕組みを検討する。郄久智広氏報告では、「将軍の港」として整備されていく兵庫を対象に、幕府の諸政策が地域社会との関係が変化するなかで進められていく様相を、近代との連続面と不連続面に着目しながら検討する。
以上の近世史を対象とした報告に対し、中野良氏コメントにより近代史の立場から論点を提出することで、幕末維新期における民衆・地域社会と軍事との関係を、近世・近代史研究双方の視点から考えていきたい。
徴兵制が存在しない現在においても、自衛隊の存在や技術開発、物品供給、基地問題などを通じて人々は間接的に「軍事」と関わりながら生活している。国際情勢の変化や憲法改正をめぐる議論が活発化する昨今、民衆・地域社会と軍事との関係を今一度問い直すことは、なお重要な意義を有するだろう。